産みたての卵の殻はざらざらしていることがあります。
これはクチクラと呼ばれる膜によるもので、卵殻の最外部を覆うタンパク質と少量の糖質から成り立っています。
ただし、近年の卵は、店頭に並ぶまでの過程でこのクチクラが剥がれてしまうことが多いようです。
したがって、卵の新鮮さを外見だけで判断するのは難しいかもしれません。

卵を購入する際は、清潔で涼しい場所に並べられている店舗で購入することが良いでしょう。
また、家庭で卵を割ってみて、濃厚な卵白の盛り上がり具合を見ることで新鮮さを確認できます。

卵の鮮度はさまざまな要因によって左右されますが、特に温度が重要です。
卵黄は卵殻と卵白によって保護されており、割れていない限り、5〜10度で保存することで1カ月間は鮮度を保つことができます。
ただし、卵は新鮮なほど栄養価や風味が優れているため、購入後はできるだけ早くお召し上がりください

卵の大きさが増すと、中身の総量も増えるため、卵をたくさん使う料理では大きな卵の方が経済的です。
ただし、異なる規格の卵でも、黄身の大きさはほとんど変わりません。
一般的には、卵のサイズが大きくなると卵白の割合が多くなります。
この特性を活かして、卵白を多く使う料理には大きな卵を、黄身を特に引き立てる料理には小さな卵を選ぶと良いでしょう。

【卵のサイズと重さの目安】
SS：40～46g
S：46～52g
MS：52～58g
M：58～64g
L：64～70g
LL：70～76g

新鮮な卵は、卵殻膜（殻の内側に付いている白色の不透明な膜）に卵白がしっかり付着しています。
そのため、ゆで卵を作る際には卵白がそのまま凝固し、殻がむきにくいことがあります。
一方、産卵から時間が経過した卵は、卵白が徐々に水様化していくことで、卵殻膜への付着が少なくなり、殻がむきやすくなります。


【ゆで卵の上手な作り方】

1. なるべく新鮮な卵を選びましょう。新鮮な卵は、卵白中から硫化水素が発生するのを抑えられるため、卵黄表面が黒くなりにくいです。
   
2. 鍋に卵を十分覆う量の水を入れ、火にかける。
   
3. 卵黄の位置を中心にするために、80～100度になるまで水の中でゆっくりと卵を移動させ、卵白を凝固させる。
4. 蓋をして静かに沸騰させる。
   ・軟らかいゆで卵は3～4分程加熱していきます。（卵が大きい場合にはゆでる時間を長くする。）
   ・硬いゆで卵の場合には10分(小さい卵)～12分(大きい卵)が目安となります。
   ※湯を激しく沸騰させてしまうと、卵殻にヒビが入ったり卵白が硬くなりすぎるため、突沸させないよう緩やかに沸騰させましょう。
   
5. 鍋を火から下ろした後は、卵をすぐに湯の中から出ししっかりと冷やします。
   ※冷却が不十分になってしまうと殻がむきににくなります。

【半熟卵の作り方】

1. 卵白、卵黄とともに半熟のもの：約70度のお湯で15～20分程度温めていきます。
2. 卵白はやや硬く、卵黄は半熟のもの：穏やかに煮立っている湯の中で3～5分程茹でていきます。
   
3. 卵白は柔らかく、卵黄は硬めの半熟のもの(温泉卵)：65～70度のお湯の中で20分程茹でていきます。

卵は気室のある丸い方を上にして保存することで、卵黄が中心部で安定し、長持ちします。
また、卵殻が卵黄膜を傷つけないようにするためにも、丸い方を上にして卵黄膜と卵殻の間に気室を入れるようにしましょう。

またもう一つの理由として、尖った方が丸い方より卵殻が厚く、強度が高いため、卵の破損を軽減する意味もあります。店頭のパック卵が丸い方が上になるように並んでいるのはこのような理由からです。

二黄卵は、産卵を始めたばかりの若いにわとりがよく産みます。
産卵初期は産卵リズムが安定していないため、しばしば連続して二つの卵黄が排卵され、卵が形成されることがあります。
産卵を始めてから最初の1カ月間は、産卵数の約5％の割合で二黄卵になります。
ただし、二黄卵は孵化することはありません。

卵の中にある赤いモノはブラッドスポット(※1)と呼ばれており、鶏に対する投薬や特殊な飼料原料の給与、病気によるものではありません。
正常な鶏が産む卵で見られる現象なので、食べても害はありません。
また、ミートスポット(※2)と呼ばれる肉様物が見られる事もありますが、卵殻色素のプロトポルフィンによるものであり、こちらも食べても人体に害はありません。

※1　血斑(ブラッドスポット)
卵の中に見られる小さい血塊のことを呼びます。通常卵黄に付着しています。
卵巣には卵胞がブドウの房状についており、それらには卵黄前駆物質が逐次運ばれてきます。
成熟した卵胞は破裂口が裂けて卵黄が排出（排卵）されます。
破裂口には血管が極めて少ないため、排卵時に出血しにくい構造になっています。
ですが、なかには破裂口に血管がかかっている事があり、排卵時に血管が破れて血液が混入することがあります。
破裂口の異常な卵胞の出現は、鶏の品種や系統によって格差があります。
血判卵の出現率は採卵鶏の銘柄により2～6%であり、遺伝的支配が強いため育種面から減らす努力を進めています。

※2　肉斑(ミートスポット)
卵の中に発見されることがある肉様物のことを呼びます。卵を割ると赤褐色の肉様物が卵白中に見られることがあります。
その正体は卵殻色素の粒子が集合したものです。
有色卵では、その卵殻色素により肉斑混入卵が全体の約30％にのぼることがあります。
ですが、白色卵では1～3％と低くなります。

卵の殻の色は、鶏の品種によって異なります。具体的には、羽毛の色とは直接関係がなく、地中海沿岸地方の在来種は白い卵を産む一方、他の鶏は色のついた卵を産むことが一般的です。
赤い卵の殻を割ってみると、内側は白いことがわかります。この色素の沈着は、卵殻が形成されていく最後の段階で起こり、褐色色素（プロトポルフィリン）によるものです。鶏の品種や系統によって色素の着色度が異なり、飼料とは直接関係ありません。また、鶏の年齢とともに色素の着色度は低下し、卵殻の色は徐々に薄くなります。
一方、南アメリカ原産のアロウカナという鶏は青色の卵を産みます。この青色色素は胆汁色素のビリベルジンであると言われており、プロトポルフィリンは卵殻全層に存在します。

時期や保存温度により異なりますが、賞味期限とは生（なま）で食べても問題のない期間のことです。
賞味期限を多少過ぎていても、加熱処理をしたものであれば、充分食べて頂けます。

方法がいくつかあります。
新しい卵と古い卵では、卵の中に含まれている炭酸ガスの量が徐々に減少していくため、古い卵の方が剥きやすくなります。

茹でる時、冷たい卵を熱湯の中に入れて茹でることで温度差により、殻との間に隙間が生まれ剥きやすくなります。（熱湯に入れる時はお湯が撥ねないよう注意してください。おたまで入れると安全です）

茹でる前に殻に穴をあけ、殻と卵白の間にお水やお湯が入ることで剥きやすくなります。
ゆでた直後にに冷水（氷水）につけると、温度差により殻との間に隙間が生まれむきやすくなります。殻にヒビを入れて水に入れておくと殻と卵白の間にお水やお湯が入り剥きやすくなります。

パック容器の開け方にコツがあります。
パック容器の開封方向にゆっくりと引っ張ってもらうと比較的きれいに開けられます。
パックの角で指を切らないように注意してください。
引っ張っている部分が長くなってきたら、短く持ち替えていただくと開けやすくなります。